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 4人は全員地面にへたりこみ、目を見開いたまま固まっている。

そして卓はボクの頭を抱え込んだまま。

 ボクは、ボクはどうしても後ろが気になってすこし頭をずらした。するとちょっとだけ後ろが見えた。

 

 どうやら後ろの木に何かぶら下がっている。おかしなことに日ごろはないはずの蔦が木からたくさん垂れさ

がっているのが分かった。

「あれっ、あんなのあったっけ」

 でも卓に押さえこまえれているので、いまいちよく見えない。

「う…ん」

 さらにちょっと体をひねると、蔦以外にも何かがぶら下がっている。

 ぽたりぽたりと液体が地面に滴っている。 いったい何だ?

 何がぶら下がって……

 ちょうちんがチカチカしているのでよく分からないけど。

 

 あ、あれはスニーカー?

 空中をゆらりゆらりと舞うようにスニーカーが見えた。液体はそれを伝ってたれている。

 

 

 う、うそだ。 まさか……

 ひ、人だ、人がぶら下がってるんだ。 そう気がつくとボクもあいつ等と同じようにがたがた震えだした。

 

「直人、お前は見なくていい」

 卓の声が聞こえたけど。

 

「ひいっ」

 だけど、だけど、ボクはあることに気がついてしまって息を呑んだ。

 

「あのスニーカー……」

 そう、ボクはあのスニーカーに見覚えがあった。

 

 その瞬間、吹き付けていた風がぴたりとやんで、ちょうちんのチカチカとした点滅もとまった。

そして後ろに見えていたはずの蔦も、さっきまで見えていた何もかもが一瞬にして見えなくなった。

 

「うわああああ」 「わああ」

 大声を上げて地面にへばりついていた4人は半分腰を抜かしながらも何とか立ち上がり逃げていった。

 

 卓に抱え込まれたまま、今度はボクがへなへなと座り込んだ。

 

「直人……」

 声をかけられて見上げると卓がつらそうな、さみしそうな、怒ったような。とにかく複雑な表情でボクを見つめていた。

 

「た、卓、卓っ」

 そう叫んで夢中で卓にしがみつく。

 そうだ。絶対にボクの勘違いだ。そんなことある訳がない。あるわけないんだ。

 

「直人?」

「卓、今日はこのままボクのうちに行こう。『ドラゴンボール』のビデオをレンタルして、『ぬーべ』読んで、この間

話した格闘ゲーム2人でやって、それで、今日は寝ないで色んなこと話そうよ」

 ボクは一気にまくし立てた。

「でさ、朝起きたらボクの母さんの作ったごはん一緒にたべよう、ね、それから、それから……そうだ。カブト虫の

捕り方教えてくれるんだろう? 天然のヤツ。ボク天然のなんて捕まえたことないんだ。まだだよ、まだ遊び足らな

いよ。ね、卓……」

 

 そう言いながらなぜだか分からないけど涙がぼろぼろあふれてきた。

 

 ぽんぽん。 卓の手がボクの頭を軽くなでる。

 

「うん、いっぱいもっといっぱい遊びたかったな。お前と」

 

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2005/7/20  update

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