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(24)
「どうしました、ダリ」
「お手伝いすると申しましたのに断られてしまいました」
しょげたようなダリの答えを聞いてタイラは思わず微笑んだ。
「おや、おや、私達はすべて知っていると伝えましたか」
「はい。でもどうしても一人で、とおっしゃって」
タイラは片方の眉をあげると、
「バーサ殿は違う国からこられたかたですから。それぞれの習慣があるのでしょう、気にすることはありませんよ」
と穏やかに答えた。
目を覚ましたバーサはタイラから湯浴みすすめられ、それに従った。だが、ダリがその手伝いをしようと
するのをかたくなに拒んだのだ。
「そうですね、仕方ありませんわ。ところでタイラ様」
ダリは肩をすくめてから、上目がちにタイラを見つめた。
「どうしました、ダリ」
「姫様には内緒です、先日お見えになったとき思ったのですけれど、その、アルド王子はひょっとすると、
バーサ様が実は……」
ダリがそこまで言うとタイラは面白そうに目を細め、手をかざして言葉をさえぎった。
「ダリ、その様な勘ぐりは下々のものがすることですよ」
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「すごい、天然石で覆われたお風呂なんて初めてだ。大きいし、さすがお城のお風呂って感じ」
バーサにとってコチラの世界に来てから初めてゆっくりつかる風呂であった。
ダリに教えられた通りルタの花から作った石鹸で顔や髪を洗い、体を洗い、そしてようやく天然石の湯船につ
かって足を伸ばした。久々のお湯の感触と湯船の大きさがうれしく、両手をのばしては平泳ぎしたくなるのをこら
える。
「うーん、困ったなぁ。あのシャツとジーンズ。もう手に入らないのに」
バーサはうなりながら湯船に顔を沈めた。
怪我をしたときに身につけていた服はバーサが眠っているあいだに汗となった毒をすいこみ、もう二度と
着ることがかなわなくなってしまった。
「でも王子からいただいた服をダメにしなかったんだから、いいか」
風呂からあがるとダリが用意してくれた服を着る。隣国の服は手首のデザインがふんわりしていて軽い。
「さすがダリですね。サイズがぴったり」
「バーサ、その服、とてもよく似合うわ」
ルリナ姫達のいる部屋へ戻ると弾んだ声が響いた。
「ね、バーサ、お腹がすいているでしょう? タイラに相談してあなたの体にいい食事を用意させたのよ」
「ありがとうございます、でもその前にアルド王子にひとことご挨拶をしてきます」
うれしそうにはしゃぐルリナ姫をみてバーサは目を細めた。
「まぁ、バーサ。アルドはあなたが回復するまで私に頼む、といったのよ、食事がおわるまでは私があなたを
預かっているのですからね」
すると、どかどかと廊下を歩く音が響いた。
「ルリナ様、どうやらバーサ殿のお迎えが来てしまったようですね」
控えていたタイラがほほえみながら言うと同時に部屋の呼び鈴がひびき、勢いよく扉が開いた。
2007/3/30 update
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