Kaoru Tachibana (C) all rights reserved.  

このページで使用している素材の2次配布を禁じます。 内容の無許可転載は厳禁です。


 頭の中はパニックのあまり真っ白になった。



「こういうお誘いは大歓迎? ってことは。 お誘い、お誘いぃぃぃぃい?」

……私が何を誘ったって言うんだろう。

 真吾さんの手を自分の胸に押し付けただけだ〜!!!



 頭の中が大混乱祭りを開催しているうちに真吾さんは私を抱きかかえたまま部屋を横ぎり、別の部屋へとつづく

ドアの前にたった。

 いまだに脳内びっくり祭り状態の私には何が何だか理解できない。



「啓、ドアをあけて」

 そういわれて反射的に手をのばしてドアを開けた。

「ちょっ……っと待って」

 部屋の中央には馬鹿でかいダブルベッドがどどーんとひかえているではないか。

 お誘いって、お誘いって。

「失礼しました」

 びっくりして訳分からないこと言ってドアをしめようとしたけど、かかえられているのでうまく動けない。

 あわわわわ〜

 

 真吾さんはそのままドアをけり開けると部屋に入って私をベッドの上におろした。



「ちょっと待った。真吾さん、落ち着いてください」

「充分落ち着いている」


 なにぉう! あわてて後ずさるけど逃げ場がない。

 ちょーーーっとまった! これはどうみても私が女だと気付いていない。

 真吾さん、あそこまでやって気付かないというのはちょっとオオボケすぎるんじゃあ。そりゃあ、私は75−Aカップ。

シリコン入りのブラを試着したら『ぱかぱか』すぎて結局できなかった悲しい経験の持ち主です。

に、したって。いくらさらしをまいているにしたって。


 ちゃんと(わずかばかりの)ふくらみが分かるところに押し付けたつもりだ。

 ああ、なのに。やっぱりこれって超ド急の悲劇なんじゃなかろーか。いいや、日本全国にいるAカップ女性に対する

宣戦布告だ〜!!!


「啓」

 ベッドに押し倒された上に、耳元でささやかれて真吾さんのドアップがせまってくる。

もう、もう、どーしたらいい……



「啓、どうして泣いてる?」

 気が付くと思いっきり泣いていた。



「啓は……私が嫌いか」

 突然の意外な質問に首を横にふる。

「私がふれるのは嫌か」

 首をふる。

「さっきのはお誘いじゃない?」

 ついまた首を横に振ってしまった。するとにっこり笑って、

「じゃ、いいんだな」

 し、しまった。ずるい。フェイントだ! ここで首を縦に振らなきゃいけなかった!

 ぶち飛ばしてしまえばいいけどどっかにぶつかって真吾さんが怪我をしたらやばいし。(←注:有段者。得意技:絞め技)


「啓……」

 涙をぬぐうように真吾さんの唇が瞼の上にキスをする。

「真吾さん、わたしは……」

 

「う……」

これだけ密着していてなんで気付いてくれないの〜!!!

 し、絞め技発動5秒前……かもしれない。

 

←もどる つづく →
 

←コンテンツページへ

2005/3/31 update

 ←ご感想はこちらまで