Kaoru Tachibana (C) all rights reserved.  

このページで使用している素材の2次配布を禁じます。 内容の無許可転載は厳禁です。


『かえるんと僕と王子様と』

−僕たちの日常・前編−

コチラをお読みになる前にまずは本編をどうぞ♪

立花 薫

 

 カエルの王様に「童話修正委員会・人間界代表」に任命されてから一ヶ月がたった。

 その間にパートナーのかえるんとやった仕事いえば、人魚姫にさらわれた王子様を助ける、これだけ。

 これだけって言ってもそりゃ、大変だったんだけどさ。

 ファンタジーの世界っていってもこっちの世界と変わらず山もあれば海もあるしお天気も同じだし虫だっているし。

 でも一番大変なのって……。






「おーい、肇、この水まずいぞ、おまえケチったろうっ」

 かえるん専用に買わされたノリタケのお皿。金色の縁取りに柔らかな若草色をした深みのあるスープ皿だ。

 そんなもったいないお皿の中央でちいさな青いカエルが怒鳴っている。

「もー、かえるんはうるさいよ。今月の僕のお小遣いじゃエビアンは無理なの。『森の天○水』1L大安売り185円。

文句言わせないからね」

  僕はかえるんに負けないようにびしっと言った。

「ちっ、これだからビンボーくせーちびはいやだぜ」 かえるんは白いお腹を見せてひっくりかえった。

「僕も口汚い王子はいやだけどね」

「いい度胸だ、てめー夜になったら外へ出ろ!」

「いやだ」

  日が沈むと人間の姿に戻るかえるん。その姿は金色の髪に真っ青な瞳、すらっと背が高くてとってもカッコいいんだ。

  だからうっかり一緒に外に出るとえらく目立つ。

  カエルの姿のときは僕と会話していても僕以外にかえるんの言葉は聞こえない。

  けれど人間に戻ると他の人にも普通にみえちゃうし声も聞こえてしまうらしい。

  でもさ。変なんだよね。

  声は聞こえてもかえるん話す言葉は何語かさっぱりわからない。

  僕とは『テレパシーで会話』しているから解るんだけど、通じるのは僕だけだから本当にややこしい。

  おまけに、カエルの王様の命令だかなんだか知らないけれど、かえるんは僕のお皿とお茶碗から


一緒にご飯を食べて(僕が食べさせている)、

一緒にお風呂に入って(僕が上呂で水シャワーしてあげている)、

一緒の布団に寝るんだよ(僕が布団を敷くと勝手に寝てる)


一応部屋のドアには鍵があるけど、家にはパパとママがいるし毎晩一緒の布団で寝るのは……ちょっと。

仕方ないのでかえるんには「押入れ」で寝てもらうことにしたんだ。でも。大変だった。

「てめー、俺様をテレビの青いタヌキと同じ扱いにする気かよ」

「え? 青いタヌキって……何」

そういえば最近かえるんは日本語を覚えてやる、とか言ってよくテレビをみてたっけ。

押入れで寝てる青いタヌキ……「ドラえもん」か!

「あんな不細工な生き物と一緒にしやがって」

「よしてよ小○館から苦情がくるよ。それにあれは生き物じゃなくて猫型ロボットなの」 

 僕はあきれてため息をついた。



 ま、青いカエルも、青いタヌキもどっちもどっちって感じなんだけど。



 あーあ、もっとさ、ファンタジーって言うか、冒険って言うか。夢のある世界が展開してもいいんじゃないの。

  こんな毎日いつまで続くんだろう。

 

 またしても溜息をつく僕の後ろで、

「おいっ、やっぱり俺様は『エビアン』がいいぞ、肇」

 わがまま王子の声が聞こえた。


つづいちゃう?

←コンテンツページへ

2006/5/1 update

 ←ご感想はこちらまで