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「そのパーティなら僕も招待されてる」

「うん」 

 メンズノンノが何かいってる。

「真行寺さんとこの婚約報告パーティだろ」

「あ、ああ。うちの大学から結構招待受けているやつ多いよな。新郎新婦おまけにその両親までそろって

ここの卒業生だからな。ま、巨大お見合いパーティみたいなもんか」

 あれ? その前にこいつここの学生か。 こんな美形、女どもがほっておくわけないと思うけど。

「お前もこの大学だよな」

「僕、今年3年からの編入だから。それまでほとんど海外にいたし」

「そうか」

 なるほど。それなら納得だ。……まてよ、3年ってことは1年先輩じゃんか。しかしここまでタメ口きいておいて

いまさら変えるのもへんだよな。そんなこと考えていると。

「僕、助けてあげてもいいよ」

「は?」

「女装した君にひっかけられてもいいよ」

!!!

 なるほど。女装も嫌だが、それより俺を悩ませていたのは『男を引っ掛ける』ことだったのだからこいつが

助けてくれるなら悩みの半分は解決することになる。

 願ったりじゃないか。

「本当か」

「ああ、僕にも都合がいいから」

「ヤッホー!」

 半分涙目になって『メンズノンノ』の手を握った。

「それ、すっげーいい考えだよ。ありがとう。 ありがとう! お前が天使にみえるよ〜。俺お礼になんでもするよ。

食いたいものあったらいえよ」

 俺は逃げられてなるものかとまくし立てた。

 

 それから俺たちは改めて自己紹介をした。

 あいつは沼田彰(ぬまたあきら)と名乗った。 この大学に入るってことはある程度金持ちのおぼっちゃんなの

は分かる。

 ずっとパリと東京を行ったりきたりしていたそうで、そして究極のお約束で『バイト』でモデルをしていた。

「ちぇ、『メンズノンノ』どころじゃないじゃないかよ。パリだぜ。おパリ」

 彰と大学で会っているとこの計画が悪友にばれるかもしれない。その後の打ち合わせは電話とメールでする

ことにしてこの日はお互いの携帯番号とメルアドを交換してわかれた。

 

 

「圭一くーん。いよいよ今週末よ〜ん。決心はついた」

 例のゲームの参加者であり、前回のゲーム敗者、吉岡がほくそえむ。

 ここで少しでも機嫌よさそうなところをみせてはならない。俺と彰の計画がばれてはいけないのだ。

「あー」 

 俺はわざとだるそうに返事をした。

「まさか逃げないよね。俺なんか女装してゲイバーに行ったんだぜ。おまけに酒飲んで悪乗りしたお前たちに

煽られてオカマとキスまでさせられたことを忘れるな。それにくらべりゃ、お上品なパーティ参加なんて

かわいい。かわいい」

 吉岡はそれはうれしそうに頭をふって笑った。

 うー。悪魔め。 だってお前はのりのりで女装していたじゃんかよ。

「お前はそういうけどさ。今度のパーティにはこの大学からけっこうな人数招待されてるんだぜ」

「ほう、だから」

「俺だってバレたらどうするんだよ。大恥かくのは俺なんだぞ」

 思いっきり吠えると、

「そんときは『罰ゲーム』だってフォローいれてやるよ。……気ぃむいたら」

 吉岡はどこまでも楽しそうだ。今まで負けを知らなかった俺がこうして罰ゲームをすることが一層奴を

楽しい気分にさせているのかもしれない。

「な、お前、女装するときの服とか準備どうするんだ。 もう週末なんだぞ」

「う、うーん。……準備、間に合わなかったりして」

 俺がにやけて言うと、吉岡の目が光った。

「待ってろ。黒田の親父のグループ会社にエステとか美容室とかあったはずだ。聞いてみよう」

 吉岡はすばやく携帯をとりだして黒田の番号をプッシュした。

 そのてきぱきぶりは何なんだよ。そこまでして俺に罰ゲームさせたいわけね。

 あ、黒田ってのは今回のゲーム参加者の一人というかコイツが主催者。 あと野上って奴がいる。

 大体いつもこの4人でつるんでいる。

 それぞれ親父は会社役員か社長だ。

 電話の様子からして黒田も大いに乗り気のようだ。

 はぁ、と、ため息をつく俺の横で、

「よし、メイクと衣装頼むな」

 そういって電話をきると

「おい、相原、明日衣装合わせにいくぞ」

 すっかり段取りを整えた吉岡がにっこり笑って俺にいったのだった。

 

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2005/1/2 update

2005/5/4 誤字、表記修正

2005/6/26 壁紙変更 

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