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「ケイの家って、すごく日本的だね」
「古い家だからな。一度だけリフォームしたけど」
そうだ。カーペットをひいているから見えないが、俺の部屋も今どき畳じきだったりする。でも一応８畳はあるん
だぞ。
もともと隣の６畳の部屋を兄貴と一緒に使っていた。ここにいたじいちゃんが亡くなったのでその部屋をもら
ったのだ。
広いほうをなぜ兄貴が使わないかというと「畳の部屋はいや」なんだと。６畳のほうはリフォームしたときフロー
リングにしてあったから。
彰はきょろきょろしたあと俺の部屋の本棚をみて、
「これなに」
「ん、 ああ、学校の卒業アルバムだよ。そうだ」
俺はそれを出して写真のページを開く。
「これこれ、 これぞ修学旅行だ」
そういって中学時代京都に行った写真をみせた。卒業アルバムにのっているものなので『集合写真』と
その他には友達と一緒にとった１枚だけだけど俺が写っているのがあった。
「こんなに大人数で行ったの、へえ」
不思議そうに写真をみていたが、
「ケイ。これ誰」
それは俺と友達が布団の上で寝転がったままカメラにピースしている写真だった。
「うわ。なつかしいな。ジャージ姿でピースなんて時代を感じるな。こいつなんて名前だったっけ。そんなに親し
くなかったんだけど一緒に写真とってたんだな。元気かなあ」
俺がせっかく懐かしがっているというのに、
「ふーん。『修学旅行』はお友達と仲良くしないといけないんだよね。親しくなくても。ふーん」
あ、やべえ。誤解をとこう思ったのに、より変な誤解が深まったような気が……。
「お前もう客間いって寝ろ」
「うしろのページは何」
おわっ。そっちは卒業文集だ。何書いたか忘れたけど「思い出」とか「将来の夢」とかはずかしい作文が
載ってるはずだ。絶対みせないぞ。
「ああ、こっちは写真ないから。あとはまた別の機会にな」
さっさと卒業文集をしまう。
「やだ。ほかの写真も見たい。アルバムとかないの」
「お前なあ。夜中にアルバムみてどうするんだよ。もう寝ろ」
俺はベッドに上がってひっくり返った。彰はベッドの横によっかかったままで寝る気はないらしい。
「ふーん。寝てていいよ。適当にさがすから」
うっ。最近こいつの『ふーん』にやたらと意味があるのに気が付いた。本気で探しかねないのがコワイ。
あーもう。しょうがねえな。
俺は起き上がって押入れをあけると奥からアルバムをとりだした。
「俺さ、写真きらいだったからあんまり撮ってないんだよ。だからこの１冊くらいしかないぞ」
彰に渡すと、奴はうれしそうにそのアルバムをひろげた。
正直、俺は眠かったけど、ベッドの上から彰の肩口に顔をだして一緒にアルバムを見る。
「これケイなの」
それはまだ赤ん坊の俺が寝ている写真とか、お風呂にはいってる写真だった。
「うん。そう。圭一君ご誕生。かわいいだろ」
「……」
何か言え。
あとは幼稚園時代がとんでいてランドセルをしょった俺がばあちゃん、じいちゃんと写っている。
小学校３年くらいの時に家族で遊園地に行った写真がでてくると、彰が急に、
「これがケイのおかあさん」
「うん。そう」
母さんが兄貴をだっこして俺はそのうしろで地面を弄くっている。
彰は何も言わずにその写真をじっとみていた。
「あれ、ケイこれで全部なの、本当に少ないね」
「中学くらいからデジカメ買ったからいちいちアルバムに整理してないんだよ。後は兄貴のパソコンに入ってんじ
ゃないかな」
そりゃ-お前の何千枚と比べたら誰だって少ないだろう。ま、確かに俺のは少ないけどな。
あのさあ、彰くーん。もう寝ようよ。俺眠い……
どうも最後まで奴につきあえず、俺は寝てしまったらしい。
うっ、また体が動かない。
またまた変な夢見るのか。
でも今回は何か違う……俺慣れたのかな。まだ朝じゃないよな。
……まてよ。
「こらー、 お前、お前なんでここに寝てるんだよ。狭いじゃねえかよ」
どおりで動きがとれないと思ったら隣にちゃっかり彰が寝てるじゃないか。
「何」 眠そうに彰が答える。
「何じゃない。お前あっちに布団ひいてあるつったろーが」
「うーん、まだ朝じゃないだろ」
そりゃ、まだだけど。
「じゃ、おやすみ」
おいこら。
「はい、ケイも寝る、寝る」
「いでで、ひっぱるな」
ここが俺のいけないところ。というか眠いので追い出すのがめんどくせー。もう、いいや。寝ちゃえ。
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2005/3/2 update
2005/5/4 誤字、表記修正
2005/6/26 壁紙変更
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