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『青空をみあげれば』

策士な彰クン

空をみあげれば」番外編 


立花薫


 ある日、いつもの様に? 彰のマンションにお邪魔しているときのことだ。

 彰と二人で夕飯を食べながらテレビをみていると、最近はやりの健康番組がはじまった。

 興味なかったけどチャンネルをかえるのもなんか面倒で彰も何も言わなかったから そのまま見ていた。

「うわー。彰、みてみて、あの子。体やわらかいよな」

  画面の中では柔軟体操をしているレオタード姿の女の子が映っている。

  本当に体が柔らかいんだこれが。前屈運動しているけどあんな風に額が膝にぺちゃっ とくっつくなんて俺

には考えられない。

「そうかな。僕もあれくらいできるよ」

  彰が平気な顔をして言う。

「うそ。お前もあんなに体曲がるの」

「うん」

  彰は立ち上がって身体を折り曲げて見せた。

  ぺちゃっ、って。まるでテレビにでていた女の子みたい。

「うげっ。すごいじゃん。モデルって柔軟体操とか必要なのかよ」

  俺が感心して言うと、

「これくらい誰だってできるよ、ケイもやってみて」 と、きたもんだ。

「え、俺」

  うーん。自慢じゃないが俺は体がかたい。スポーツは見るのは好きだけど やるのはちょっと。

  そう言えば大学に入ってからろくに運動してないよな。

「ケイ、やってみて」

  あーもー、しょうがない。こいつ言い出したら聞かないんだよな。

「俺、体硬いからさ」

  なんて言い訳しながら立ち上がって前屈にチャレンジしてみた。



「……それ冗談だよね」



  うっ、彰がきびしい、いや当たり前のツッコミをしてくる。

  体が硬いとは思っていたけれど折り曲げようとして90度ちょっと すぎたあたりで俺はもうギブアップだった。

「別に太ってるわけじゃないのにね。今度は床に座ってみて。足を前に出して、はい、曲げて……」

  彰に言われた通り今度は床に座ってやってみる。

「いでっ。いででででっ。彰、もう無理だってばっ」

  床に座ってやってみたらもっとひどい。俺は足を前に出して両腕を前にピンと伸ばしただけでもうダメ。

「いいじゃんか、もう。運動してなかったから体がかたくなってみたいだけどさ。 日常生活に問題ないし」

  すると彰は眉間にしわを寄せて俺に言った。

「ケイ、そういうのを万病のモトっていうんだよ。ほら、テレビ見てごらん」

  テレビ画面に目をもどすとその番組の司会者がしきりに柔軟体操の大切さと 体が硬いと起こりやすい

体の障害を説明していた。

「うへぇ、俺、大学のジムに通うとかなんかしないとまずいかな」

 俺の大学には学生専用のりっぱなジムがある。せっかくだから使うかな。

「わざわざジムに通う必要はないよ。寝る前にちょっと運動すれば」

  結局その晩も彰のマンションに泊めてもらったけど、彰ってばひどいんだ。

  本気で柔軟体操やらせるんだぜ。

「いでで、いでぇ〜。あんまり背中押すな〜」

「毎晩足のストレッチだけでもやったほうがいいよ、ケイ」

  たしかになあ。ストレッチなんてメンドくさいけど体かたすぎる。言う事聞いて 続けてみるか。

  それにしてもいつにも増して彰が熱心だ。

「ちゃんと柔軟体操つづけてね。絶対困ることになるから」

 彰はにっこりと笑って言った。

 そのときはホントおせっかいなヤツ、なんて思っていたけれど。




……ところが。

このウラにはちゃんと事情があったのだ。

彰の真の目的に気が付いたのはここから少したってからの話。

気がつけばストレッチなんかよりもっと『過激な運動』に付き合わされるハメになってしまったのだった。




番外編 おしまい♪

何の『運動』かって?ご想像にお任せします……
 

 

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